ARE YOU COLABORY? 研究の現場で聞いてみた!!! 第二回 山本祐輔 京都大学 学術研究支援室 特定専門業務職員

第一線で活躍される研究者、研究支援者に「コラボリー/Grants(研究助成)」を実際に使って頂き、その感想を伺う本企画。今回、レビューをして頂いたのは、京都大学学術研究室でリサーチアドミニストレーター(以下、URA)として活躍する他、大学研究室の活動を向上させるための思考実践「いきいき研究室増産プロジェクト」の活動なども行う山本祐輔さんです。

URAのお仕事を教えてください

URAは、新しい職種です。3年ほど前、日本の研究力の低下を危惧し、文科省が「研究を支援する人材育成」の事業を行う大学を募集したんです。私が所属する京都大学もその事業に応募して、学術研究支援室という組織ができました。URAの仕事内容は、大学や地方、その規模によって異なるのですが、京都大学では研究者がパフォーマンスを発揮できるように、URAが研究プロジェクトの企画・運営の支援、研究環境の整備や改善を行っています。そのなかには、外部資金の獲得支援も含まれています。

文科省の研究助成金が削られているなかで、当然のことながらURAに期待される外部資金の獲得は、プレッシャーとして非常に大きいのですが、外部資金獲得というのは良い研究をするための一つの手段に過ぎません。これは重要なことで、目的と方法を見誤ると危険なんですね。ですから、外部資金の獲得だけでなく、上位レベルで研究が良くなるために必要となる要素を、幅広い視点から捉えて仕事をすることを意識しています。

山本祐輔氏の写真

良いなぁと思ったのは、募集している研究助成金の詳細情報に、「過去の採択実績」が網羅されていること

コラボリー/Grants(研究助成)を実際に使ってみて、その感想をお聞かせください

使ってみて良いなぁと思ったのは、募集している研究助成金の詳細情報に、「過去の採択実績」が網羅されていることです。ただ「採択金額」などの情報が入っていないケースがあるのがもったいない。こうした情報が、埋まってくると素晴らしいと思います。

山本祐輔氏の写真

サービスに期待するのは、更新頻度ですね。京都大学の外部資金公募情報サイトは僕が設計したのですが、特に困っているのはフレッシュな情報をキャッチすることなんです。公募情報は事務職員が収集してアップしているのですが、どうしても情報にタイムラグが出てしまう。このタイムラグが研究者からすると、嫌なんですね。初動が遅れるので。「コラボリー/Grants」の更新は月2回ということですが、情報更新が逐次更新になって、常にフレッシュな情報が上がっているようになれば非常にいいでしょうね。

募集要項に書いてない情報が実は重要

あれば便利と思われる情報や機能はありますか?

URAに期待されていることの1つは大型研究費の獲得です。大型の研究費に関しては、各種省庁が情報を出しているので情報収集には困らないんです。ただ大型の研究費においては、募集要項に書いてない情報が実は重要なんです。大型の研究費がつくられる背景には、国の施策があるわけで、そこをきちんと理解しないと、申請書を書いても採択されない。ですから、その研究費の背景や背景にある議論などが分かる説明会の情報や、説明会で話された内容などが公募情報にリンクして掲載されていたら、もの凄く嬉しいです。
また研究分野もそうですが、使途、つまり「研究費をどのような用途で使えるのか」ということで絞り込めたらいいでしょう。海外出張に使えるものとか、設備に投資できるものとか、こうしたメタデータが、「コラボリー/Grants」に収録されてきたら便利だと思います。

研究支援者は、研究者のニーズを十分につかめきれてないんですよ。「コラボリー」はいずれ会員登録ができるようになると伺いましたが、会員登録するとログの記録に研究者のニーズが残りますよね。そういうのを吸い取れると面白いと思いますよ。研究支援者が研究リサーチをするためのダッシュボード機能があると、研究推進の戦略を考える材料にはなると思います。

山本祐輔氏の写真

研究費を大きくしていくためのステップをつくる際のきっかけになればいい

このサービスを誰に使ってほしいですか?

若手の研究者がいいでしょうね。「コラボリー/Grants」の場合、財団系の研究費が多く収録されていますよね。財団系のものは制約が少ないので、若手の研究者にとって使い勝手がいいんです。ですから、使いやすい研究費から始めて、研究費を大きくしていくためのステップをつくる際のきっかけになればいいと思います。そのために推薦機能をうまく活用して、若手研究者が経験を積んでいくようなフローをサポートするのもいいかもしれません。あとは人文社会系の研究者は、自分たちの研究に合う助成金がないと諦めている人も多いので、こういうサービスが生まれることで、お金を獲りにいく機会が増え、研究を加速させることになればいいと思います。

実は、研究者目線で考えると、「検索」ってあんまりやらないんですよ。研究者としては、こういう情報を探している時間があれば、研究する時間がほしいんです。また、研究費を探すというトレーニングをあまり受けていませんから、従来から知られている研究費しか探さないケースが多い。研究者自身がどんどん探すようになればいいとは思うのですが、多分、まだそのフェーズにない。状況が変わるとしたら、「コラボリー/Grants」のようなサービスが、今後どれくらいその期待に応えられるかがポイントだと思います。

山本祐輔氏の写真

分野を超える、組織を超える、国を超える―まず、越境することが重要

山本さんにとって、研究におけるコラボレーションとはなんですか?

難しい質問ですね…。異分野融合の推進や分野対応性の強化が優れた研究の要であるようにさかんに言われますが、そこが目的になると良い研究はできないんです。コラボレーションが前提になったらおかしくなるんですよ。いま言われたコラボレーションという言葉には「人と人がつながるべき」というニュアンスが含まれていると思うのですが、なにがなんでも「つながる」必要はなくて、状況によってつながればいい。必要なことは「違う視点を入れられるか」ということです。人とつながるのは、そのための一つの手段でしょう。

僕は人とつながるコラボよりも、「越境」が重要だと思っています。分野を超える、組織を超える、国を超える―まず、越境することが重要です。コラボレーションはその先にあるんです。ただ、越境もコラボレーションも、常に興味を広く持つことが必要。研究者はもちろんのこと、URAに必要とされるのは、あらゆる分野に対して興味のアンテナを張る開いた姿勢ではないかと思っています。

コラボリー/Grantsは募集要項とともに過去の採択実績が収録されています。以下は一例です。
山本祐輔氏の写真

山本祐輔(やまもと・ゆうすけ)
京都大学学術研究支援室 特定専門業務職員

2008年、京都大学大学院情報学研究科 修士課程 修了。2009年、Yahoo! Japan 共同研究員、日本学術振興会 特別研究員(2011年3月まで)。
2011年、京都大学大学院情報学研究科 博士課程修了(情報学)し、同年、京都大学大学院情報学研究科 特定助教、UC Berkeley, School of Information 客員研究員(2012年1月まで)に就く。現在は、エッジの効いた研究を創出する研究プロデューサーを目指し、京都大学学術研究支援室 特定専門業務に務める。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る