近年の外部研究資金獲得の傾向として「研究支援部門の戦略や申請支援活動の取組み姿勢が採択率の差としてあらわれる」といわれています。

競合大学の研究戦略分析はもちろんのこと、自大学の客観的な「強み」の把握は年々厳しくなる研究資金獲得戦略を検討するうえで重要となっています。また、大学経営とも密接に関連する研究戦略の立案において、研究支援部門の役割は増々重要になっています。

今回は、2015年6月30日(火)に開催され、研究戦略分析にも活用できると注目の「VALUENEXコンサルティング、ジー・サーチ共催~最先端の予測分析でみえる新市場!事業戦略策定に役立つ論文分析セミナー」(場所:東京浜松町 世界貿易センタービル)の模様をお届けします。

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セミナーの内容は企業の事業戦略分析をメインにしたものでしたが、技術トレンドの予測分析自体は大学や研究機関の研究戦略策定にも応用できるもの。会場には企業の方だけではなく大学関係者の方の参加もありました。

ここまで進化した研究開発トレンドの予測分析技術(Predictive Analytics)

今回のセミナーの注目ポイントはなんといっても、データ分析により技術開発トレンドを予測する分析技術(Predictive Analytics)です。前半のVALUENEXコンサルティングの中村社長のセッションでは、独自の予測分析技術による解析の事例をお聞きすることができました。

この予測分析技術を使うと、大量の文書データ(特許やJDreamⅢの論文などの技術文書)を類似度計算によりクラスタリングして、精度の高い二次元の図(俯瞰図と呼ばれる)に写像することができます。俯瞰図では、技術文書のクラスタ(類似文書のかたまり)が水色の円で表現されて配置されます。円の大きさはクラスタに含まれる文書数を示しており、円が大きいほどその分野で研究開発が活発に行われていることを示します。逆に円の密度が小さい領域は技術開発があまり行われていないことを示しており、これが研究開発の「空白領域」になるわけです。

高度な類似度・クラスタリング技術により作成された論文の俯瞰図

高度な類似度・クラスタリング技術により作成された論文の俯瞰図

この技術が従来のテキストマイニング技術と決定的に異なるのが、クラスタを2次元の図に配置するときの「精度」です。この精度の高さによって、俯瞰図に示される技術間(赤い点線部分)の位置関係や距離間が把握可能になります。例えば、技術領域Aと技術領域Bの間にある技術の空白領域に着目すれば、「技術Aや技術Bの新しい応用先」に関する新しい洞察を得る、ということが可能になるわけです。

さらに俯瞰図を時系列でみることによって、研究開発の動きを把握し、将来予測へとつなげることができるのです。

冒頭の写真は、さまざまな企業の買収を続けるITの巨人GoogleとAppleの特許を予測分析技術で可視化した俯瞰図です。この俯瞰図に独自の特許と、他社から買った特許、手放した特許の情報を重ねると、GoogleやAppleの技術戦略が浮き彫りになってきます。この俯瞰図をよ~く眺めてみると、そこにはGoogleやAppleがまだ手を出していない空白領域(ホワイトスペース)が…。中村社長が示すその領域で、きっと次の企業買収劇はコノ領域でおこるに違いありません!

スペースの都合で全てを書くことはできませんが、中村社長のスケールの大きなお話しはとても興味深いものばかりでした。どの事例も論文や特許のデータをもとにした予測なので説得力が違いますね。同社のツールが事業戦略策定や商品企画に取り組む多くの企業で、コミュニケーションツールとして活用されているというのも納得です。

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